東南アジアで求められるワクチン

感染症から自分を守り 周囲の人を守る

B型肝炎

日本脳炎

狂犬病

▶A型肝炎

破傷風

腸チフス

HPV(ヒトパピローマウイルス)

ワクチンの互換性について

ワクチンの互換性とは

参考

ワクチン接種スケジュール

▶ワクチン接種ガイドライン

▶料金

東南アジアで求められるワクチン 

▶感染症から自分を守り 周囲の人を守る

 

外国では、日本にはない病気が発生しています。また、日本にいる時よりも感染するリスクが大きい病気もあります。これらの病気の中には、予防接種を受けることでかかるリスクを下げることができるものがあります。必要な予防接種は、渡航先、渡航期間、年齢、健康状態、予防接種歴などによって異なります。ミャンマーにおいて必要と考えられる予防接種についてご紹介いたします。


▶B型肝炎

B型肝炎(Hepatitis B)は、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染することによって引き起こされる肝炎です。

感染経路:B型肝炎ウイルスは、感染者の血液や体液(精液、膣分泌液、汗、唾液など)を介して感染します。主な経路は、性的接触、感染者の血液への接触、母親からの垂直感染(分娩時や授乳時に感染すること)などがあります。

症状:B型肝炎の初期感染では、ほとんど症状は出ません。しかし、感染後数週間から数か月後に、疲労感、腹痛、食欲不振、発熱、関節痛などの肝炎の症状が現れることがあり、一部の方では重症肝炎となることがあります。

慢性化リスク:B型肝炎は、感染後に一部の方で慢性化することがあります。慢性B型肝炎になると、肝硬変や肝癌のリスクが高まります。

予防接種:B型肝炎の予防には、ワクチン接種が重要です。そのほかにも、安全な性行為(セーフセックス)、血液や体液の感染源の適切な取り扱い(針刺しの防止や、感染予防策の徹底)も重要です。

接種推奨:いままでワクチン接種を受けたことがない方はもちろん、一部の人で、ワクチン接種をしてもB型肝炎ウイルスへの免疫がつきづらい方がいます。当院では、B型肝炎のワクチンの接種歴がある方で、ちゃんと免疫がついているか抗体検査を行い、もしも免疫がついていない場合はワクチン接種を行っております。

 

▶日本脳炎

日本脳炎(Japanese encephalitis)は、日本脳炎ウイルス(Japanese encephalitis virus)によって引き起こされる脳炎です。

感染経路:日本脳炎ウイルスは、感染した豚や鳥などの動物を媒介する蚊(特にコガタアカイエカ)を介してヒトに感染します。感染経路としては、蚊がウイルスを吸血した動物から人間に直接感染する「動物-ヒト感染経路」と、蚊が感染者の血液を吸った後に他の人に感染させる「ヒト-ヒト感染経路」があります。

症状:日本脳炎の感染者のほとんどは無症状もしくは軽い症状で済みます。しかし中には重症化し、発熱、頭痛、嘔吐、意識障害、けいれん、麻痺などがみられる方がいます。脳炎が重症化すると、命が危険にさらされたり、重篤な後遺症が残る可能性が高くなります。

リスク地域と予防接種:日本脳炎は、アジア太平洋地域で特に発生が多く、農村部や水田周辺での発生がよく知られています。ミャンマーでも発生報告があり、予防には日本脳炎ワクチンの接種が非常に重要です。また、蚊に刺されないために、適切な蚊除け対策(虫除けスプレーや蚊帳の使用など)が重要です。

接種推奨:一般的に、過去に日本で3回接種のある方は10年おきの接種が推奨されています。3回接種したことがない方については、改めて打ち直すことも検討されます。ご相談ください。

 

▶狂犬病

狂犬病(Rabies)は、狂犬病ウイルス(Rabies virus)によって引き起こされる感染症です。

感染経路:狂犬病ウイルスは、感染した動物(主に野生動物や犬、猫)の唾液を介して伝播します。噛まれるだけでなく、唾液が破損した皮膚や粘膜に接触することでも感染する可能性があります。

症状:狂犬病の感染後、潜伏期間が数週間から数か月~数年に及ぶことがあります。初期症状は発熱、頭痛、倦怠感などのインフルエンザ様症状がみられることがあります。しかし感染が進行すると、ウイルスが脳へ侵入し興奮、不安、幻覚、攻撃性、水を見るだけでの異常な反応(水恐怖症)、筋肉の麻痺、意識障害などが起き、致命的な転帰をたどります。

予防接種:狂犬病の予防には、ワクチン接種が重要です。また、野生動物との接触を避けることも重要です。もし動物に噛まれたり引っかかれたりした場合は、早急に医療機関を受診し、必要な予防措置を受けるようにしましょう。

 

▶A型肝炎

A型肝炎(Hepatitis A)は、A型肝炎ウイルス(HAV)に感染することによって引き起こされる肝炎です。

感染経路:A型肝炎ウイルスは、感染者の便や直接触れたもの(食品、水、物体など)を介して感染します。特に、水道水の汚染や食品衛生の不備が原因として多く報告されています。

症状:A型肝炎の初期感染では、ほとんど症状は出ません。しかし、感染後数週間から数か月後に、疲労感、腹痛、食欲不振、発熱、黄疸(皮膚や目の白部分の黄色化)などの肝炎の症状が現れることがあります。一般的には重症化することはほとんどなく、自然治癒することが多いとされています。

予防接種:A型肝炎の予防には、予防接種が重要です。また、適切な手洗い(特にトイレ使用後や食事前)、安全な水の摂取(ボイルした水や煮沸した水の使用)、衛生的な食品を選ぶことも重要です。


▶破傷風

破傷風(Tetanus)は、破傷風菌(Clostridium tetani)という細菌によって引き起こされる感染症です。

感染経路:破傷風菌は、環境中に広く存在しています。感染は通常、皮膚の深い傷や刺し傷(例:釘やガラスの刺さった傷)によって起こります。また、汚染された土や糞尿などが傷口に入り込むことでも感染する可能性があります。

症状:破傷風の初期症状は、筋肉のこわばりや痛みです。これにより、顔の筋肉がこわばったり、咬筋が収縮したりすることがあります。その後、全身の筋肉がこわばり、痙攣が起こることがあります。呼吸筋のこわばりや痙攣は、致死的な状況を引き起こします。

予防接種:破傷風を予防するためには、破傷風ワクチンの接種が重要です。一般的に日本では、DPTワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風)の一部として接種されます。

接種推奨:一般的に、過去に日本で3回の接種歴がある方は10年おきの接種が推奨されています。3回接種したことがない方については、改めて打ち直すことも検討されます。ご相談ください。

 

▶腸チフス

腸チフス(Typhoid fever)は、サルモネラ・チフィ(Salmonella Typhi)という細菌によって引き起こされる感染症です。

感染経路:腸チフスは、感染者の便や尿中に存在する細菌を通じて感染が広がります。感染経路としては、汚染された飲料水や食品(特に生の貝や魚、生野菜など)の摂取が一般的です。また、感染者との接触によっても感染が起こる場合があります。

症状:主な症状には、高熱(39〜40℃)、頭痛、全身の倦怠感、筋肉痛、食欲不振、腹痛、下痢または便秘などがあります。また、腸チフスは消化管を通過して全身に広がるため、皮膚の発疹や肝臓の腫れ(肝腫)などの症状も現れることがあります。

接種推奨:腸チフスのワクチン接種が、感染高リスク地域の滞在者には推奨されています。また、安全な飲料水の摂取(ボイルした水やボトルウォーターの使用)、衛生的な食事の摂取、適切な手洗い、食品の適切な調理などが重要です。

 

▶HPV(ヒトパピローマウイルス)

ヒトパピローマウイルス(Human Papillomavirus, HPV)は、ヒトに感染するウイルスの一群です。

感染経路:HPVは、性行為(性的接触)を通じて感染が広がります。性器の皮膚や粘膜との接触によって感染が起こり、一部のウイルスにより性器のHPV感染症(性器いぼや子宮頸がん)を引き起こすことがあります。また、直接の皮膚接触によって、手や指などを介してHPVが広がることもあります。

症状:HPV感染には、無症状の場合もありますが、一部のウイルスの型によって、特に子宮頸部異形成といって子宮頸部に異常な細胞の成長が生じ、子宮頸がんのリスクを高めることが知られています。一般には無症状であり、子宮頸がんのスクリーニング検査によって検出されることがあります。

接種推奨:HPVに対するワクチン接種が重要です。これにより特定のHPVタイプに対する免疫を促進し、感染や感染症のリスクを減少させます。ワクチンは女性と男性の両方に推奨されています。また、コンドームの使用は、性的感染症のリスクを減少させるために重要とされています。


ワクチンの互換性について

▶ワクチンの互換性とは

 

日本で使用されているワクチンは、日本の臨床研究を通して、適切な接種回数とタイミングが定められています。しかし、世界にはそれぞれの感染症について様々なワクチンが普及しており、海外でワクチンを接種する場合は日本のものとは違うワクチン製品が使用されることが通常です。

 

その際、ワクチンの互換性が問題となってきます。すべての感染症について、接種スケジュールの途中で別のワクチン製品に切り替えた場合に期待される免疫がつくのかを調べた臨床研究はほとんどなく、ガイドラインでも『日本製のワクチンを打っていて途中で海外製のワクチンに切り替えた場合、参考となる臨床研究やデータが存在しないため有効な免疫がつくかどうか、はっきりと論じることができない』とされています。

 

結論としては、『日本に戻って接種スケジュールを完遂するか、海外で追加接種を行うか、もしくは海外のワクチンであらためて1からワクチン接種をし直すか、適宜状況に応じて医療者と協議することと』となっております。これについては一番良い接種方法についてご提案致しますので、お気軽にご相談ください


▶料金

 ※現在ワクチンの供給が不安定であり、価格も細かく変動しております。

接種可能なワクチンとスケジュールをご案内いたしますので、まずはお問い合わせください。

 

・当クリニックでは、コロナワクチンの取り扱いは行っておりません。

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ワクチン接種のお申込み・お問い合わせについてはフォームよりご連絡ください


▶参考:日本プライマリ・ケア連合学会ワクチンプロジェクトチームによるこどもとおとなのワクチンサイト

ワクチン接種スケジュール【2023年4月版】

「こどもワクチン接種スケジュール」

 

「おとなワクチン接種スケジュール」

 

「全年齢ワクチン接種スケジュール」

 

▶参考:公益財団法人日本医療機能評価機構

海外渡航者のためのワクチンガイドライン/ガイダンス2019